Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
それにさ、ほんとにうち、お金なんてないのよ。うそかほんとか、いま、銀行の帳面みせたげる。」
兵六さんにも聞いてもらいたくていうのだが、夏樹は信じないらしく、
「うそだーい。ケチ!」
「ケチがいやなら、夏樹ちゃん、じぶんの貯金を出してあげればいい。」
おどかすつもりでそういったのだが、夏樹はまにうけて、
「あげるよぼく。」
「だってあんた、八千円しかないじゃない。」
すると、ここまできてまさかと思った兵六さんが、再び手を合しておがみ、
「たのむ、音枝ちゃん。八千円でもけっこうだ。中古車の自転車なら八千円でも買えるからね。たのみます夏樹ちゃん。この金ばかりは、きっと払うからね。このおじちゃんを助けてちょうだい、ね、夏樹ちゃん。」
不思議なことに、こうなると兵六さんの目には涙が自然とうかんでくるらしい。夏樹は一しょに涙ぐみながら、ある感激をもって、
「うん、いいよ。あげるよ。ぼくはまた、たばこ買ってきておとうちゃんに十円玉のおつりもらうからいいんだ。」
こうなると音枝ももう口の出しようがない。
「はい、おすきになさい。おねえちゃんには権利ないからね。」
貯金帳と判こを、わざと力を入れて夏樹の前においた。