Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのうえのしも
雪の上の霜
山本 周五郎
Lesen Sie 雪の上の霜 (ゆきのうえのしも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.586 Zeichen · 50 Bildschirme
一
一
その仕事は簡単なものであった。街道に立っていて、荷物を(重たそうに)持っている旅人が来たら、あいそよく呼びかけて、こう云うのである。
――次の宿までその荷物を持ちましょう。つまり、馬や駕籠に乗るほどではないが、歩き草臥れて少しばかり荷物が厄介になった、という客のために、馬や駕籠よりも安価な駄賃で、荷物を持ってやる。というわけである。……これはもちろん三沢伊兵衛の新案ではない、妻と二人の、ながい、放浪の旅のあいだに、子供がやっているのを、幾たびか見たことがあった。みんな十歳前後の子供たちで、またそのくらいの者に適当した、ほんの小遣稼ぎにすぎないだろう。伊兵衛のように背丈が五尺八寸もあり、武芸で鍛錬した十七貫余もある躰躯では、不似合というより些か滑稽である。
だがそんなことに構ってはいられなかった。妻が病気で倒れまる二た月も医者にかかり、現在なお滝沢の湯治宿で、予後の療養を続けている。また此処は合の宿で、さし当りほかに稼ぐ方法がなかった。彼としては、むしろ相当な思いつきだと考えたくらいであった。
仕事そのものは簡単であるが、実際にやってみると(生業というものがすべてそうであるように)おいそれとうまくはゆかなかった。