Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのうえのしも

雪の上の霜

山本 周五郎

Lesen Sie 雪の上の霜 (ゆきのうえのしも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.586 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

おちぶれてはいるが人品が違うし、躯もぬきんでているから、客のほうで誤解するらしい。こちらで呼びかけると、急に怯えたような顔になり、返辞もせずに駆けだす者があった。初めのうちはしばしばあった。また次には、親切な気持からして呉れる、と思うのだろう、たいそう恐縮して、途中もなにかと鄭重に話しかける。しょうばいのことや、時候気象のことや、不良な伜のことや、そのほか各種多様なことについて。……伊兵衛はもちまえの気のやさしさと、なにごとにも丁寧な性分から、相手よりもなお慇懃な態度で、熱心にあいづちを打ち、おどろいてみせ、感じ入り、適度に反対したり、あいそ笑いをしたりする。そうして、峠を一つ越えて仲山という宿へ着くと、相手は荷物を受取って、篤く礼を述べていってしまうのである。

――まことにおなごり惜しい。

などと云うが、伊兵衛としても、まさか駄賃を呉れとは云えない。こちらもなごり惜しいような心持で、また次の客を物色する。といったような例もずいぶんあった。

むろんそんなことばかりはなかったし、馴れれば調子もわかるから、十日ばかりするうちには、どうやら少しは稼ぎになるようになった。