Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんさいにっし

震災日誌

喜田 貞吉

Lesen Sie 震災日誌 (しんさいにっし) von 喜田 貞吉 (きたさだきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.617 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

わかった。実は去る二日の夜九時になって、遠く埼玉県なる妻の実家から、二十余里の道を自転車で妻の三番目の弟が見舞に来てくれたのだ。それで埼玉方面の被害の比較的少かったことが判って一と安心したものの、深川なる妻の叔母の一家族や、本所の親類へ来ているはずの妻の妹などの消息がいっさい不明なので、心配でならぬ。その夜はおそいので宅で一泊させて、三日の朝様子を見に行って貰ったが、日が暮れても帰って来ぬ。ところへ十時ごろにさらに妻のすぐの弟がこれも自転車で駆けつけて来てくれた。その談によると、王子から宅までの間に約五十回も、自警団のために車から下ろされて調べられたという。殺伐の噂もすでに少からず聞かされている。あるいは弟も深川への往復の途中で、何か間違いが出来たものではないかとそれがまた気になり出す。今四日の朝になってやっと帰って来た。その談によると、昨夜はとてもあぶなくて通行が出来ず、ついに牛込で一泊して来たのだという。江東方面の惨状も、気にかかる叔母の様子も、その報告によって始めて真相を知ることが出来た。本所・深川は噂通りの全滅で、今もって到るところに死体が横たわっている。