Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
詠子さんは窓の内に真っ直に立って、頤で会釈をしている。女学生の中の年上で、痩せた顔の表情のひどく活溌なのが、汽車の大分遠ざかるまで、ハンケチを振って見送っていた。
詠子さんは静かに膝掛の上に腰を卸して、マッフに両手を入れて、端然としている。
暫くは誰も物を言わない。日暮里の停車場を過ぎた頃、始めて物を言い出したのは、黒うとらしい女連であった。「往くと思っているでしょうか」と若いのが云うと、「思っていなくってさ」と年を取ったのが云う。思いの外に遠慮深い小声である。しかし静かなこの室では一句も残らずに聞える。それが始終主格のない話ばかりなのである。
大村が黙っているので、純一も遠慮して黙っている。詠子さんはやはり端然としている。
窓の外は同じような田圃道ばかりで、おりおりそこに客を載せてゆっくり歩いている人力車なんぞが見える。刈跡から群がって雀が立つ。醜い人物をかいた広告の一つに、鴉の止まっていたのが、嘴を大きく開いて啼きながら立つ。
室内は、左の窓から日の差し込んでいる処に、小さい塵が跳っている。
黒人らしい女連も黙ってしまう。なぜだか大村が物を言わないので、純一も退屈には思いながら黙っていた。