Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
十八
「こん度はお一人でいらっしゃいな」小さい名刺入の中から名刺を一枚出して純一に渡すのである。
純一は名刺を受け取ったが、なんとも云うことが出来なかった。それは何事をも考える余裕がなかったからである。
純一がまだ surprise の状態から回復しないうちに、おちゃらは身を飜して廊下を梯の方へ、足早に去ってしまった。
純一は手に持ていた名刺を見ずに袂に入れて、ぼんやり梯の下まで来て、あたりを見廻した。
帽や外套を隙間もなく載せてある棚の下に、男が四五人火鉢を囲んで蹲んでいる外には誰もいない。純一は不安らしい目をして梯を見上げたが、丁度誰も降りては来なかった。この隙にと思って、棚の方へ歩み寄った。
「何番様で」一人の男が火鉢を離れて起った。
純一は合札を出して、帽と外套とを受け取って、寒い玄関に出た。
十八
純一は亀清の帰りに、両国橋の袂に立って、浜町の河岸を廻って来る電車を待ち受けて乗った。歳の暮が近くなっていて、人の往来も頻繁な為めであろう。その車には満員の赤札が下がっていたが、停車場で二三人降りた人があったので、とにかく乗ることだけは乗られた。
車の背後の窓の外に、横に打ち附けてある真鍮の金物に掴まって立っていると、車掌が中へ這入れと云う。