Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
「先生。何かお話は願われますまいか」
「何の話ですか」
新聞がやっと手を離れた。
「現代思想というようなお話が伺われると好いのですが」
「別に何も考えてはいません」
「しかし先生のお作に出ている主人公や何ぞの心持ですな。あれをみんなが色々に論じていますが、先生はどう思っていらっしゃるか分らないのです。そういう事をお話なすって下さると我々青年は為合せなのですが。ほんの片端で宜しいのです。手掛りを与えて下されば宜しいのです」
近藤は頻りに迫っている。女中が又名刺を持って来た。紹介状が添えてある。大石は紹介状の田中亮という署名と、小泉純一持参と書いてある処とを見たきりで、封を切らずに下に置いて、女中に言った。
「好いからお通なさいと云っておくれ」
近藤は肉薄した。
「どうでしょう、先生、願われますまいか」
梯子の下まで来て待っていた純一は、すぐに上がって来た。そして来客のあるのを見て、少し隔った処から大石に辞儀をして控えている。急いで歩いて来たので、少し赤みを帯びている顔から、曇のない黒い瞳が、珍らしい外の世界を覗いている。大石はこの瞳の光を自分の顔に注がれたとき、自分の顔の覚えず霽やかになるのを感じた。