Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
茶が出る。菓子が出る。しづえは静かに這入って静かに立って行く。一間のうちはしんとしていて、話が絶えると、衝く息の音が聞える程である。二重に鎖された戸の外には風の音もしないので、汽車が汽笛を鳴らして過ぎる時だけ、実世間の消息が通うように思われるのである。
奥さんは己の返した一つの火鉢を顧みないで、指の尖の驚くべく細い、透き徹るような左の手を、退紅色摸様の炬燵布団の上に載せて、稍神経質らしく指を拡げたりすぼめたりしながら、目を大きくって己の顔をじっと見て、「お烟草を上がりませんの」だの、「この頃あなた何をしていらっしって」だのというような、無意味な問を発する。己も勉めて無意味な返事をする。己は何か言いながら、覚えず奥さんの顔とお雪さんの顔とを較べて見た。
まあ、なんという違いようだろう。お雪さんの、血の急流が毛細管の中を奔っているような、ふっくりしてすべっこくない顔には、刹那も表情の変化の絶える隙がない。埒もない対話をしているのに、一一の詞に応じて、一一の表情筋の顫動が現れる。Naif な小曲に sensible な伴奏がある。
それに較べて見ると、青み掛かって白い、希臘風に正しいとでも云いたいような奥さんの顔は、殆ど masque である。