Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
女の「あれ、あそこに」という方角を見たが、灰色の空の下に別に灰色の一線が劃せられているようなだけで、それが水だとはっきりは見分けられない。その癖純一の胸には劇しい恐怖が湧く。そこへ出て来た大村を顧みて、「山の近いのはどっちだろう」と問う。大村は黙っている。どっちを見ても、山らしい山は見えない。只水の来るという方角と反対の方角に、余り高くもない丘陵が見える。純一はそれを目掛けて駈け出した。広い広い畑を横に、足に任せて駈けるのである。
折々振り返って見るに、大村はやはり元の街道に動かずに立っている。女はいない。夢では人物の経済が自由に行われる。純一は女がいなくなったとも思わないから、なぜいないかと怪しみもしない。
忽ち scne が改まった。場所の変化も夢では自由である。純一は水が踵に迫って来るのを感ずると共に、傍に立っている大きな木に攀じ登った。何の木か純一には分からないが広い緑色の葉の茂った木である。登り登って、扉のように開いている枝に手が届いた。身をその枝の上に撥ね上げて見ると、同じ枝の上に、自分より先きに避難している人がある。所々に白い反射のある緑の葉に埋もれて、長い髪も乱れ、袂も裾も乱れた女がいるのである。