Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
こんな事を思っているうちに、給仕が ham-eggs か何か持って来たので、純一はそれを食っていると、一人の女が這入って来た。薄給の家庭教師ででもあろうかと思われる、痩せた、醜い女である。竿のように真っ直な体附きをして、引き詰めた束髪の下に、細長い頸を露わしている。持って来た蝙蝠傘を椅子に倚せ掛けて腰を掛けたのが丁度純一のいる所と対角線で結び附けられている隅の卓で、純一にはその幅の狭い背中が見える。に crme を誂えたが、クレエムが来たかと思うと、直ぐに代りを言い付けて、ぺろりと舐めてしまう。又代りを言い付ける。見る間に四皿舐めた。どうしても生涯に一度クレエムを食べたい程食べて見たいと思っていたとしか思われない。純一はなんとなく無気味なように感じて、食べているものの味が無くなった。謂わばロオマ人の想像していたような lemures の一人が、群を離れて這入って来たように感じたのである。これには仏教の方の餓鬼という想像も手伝っていたかも知れない。とにかく迷信の無い純一がどうした事かこの女を見て、旅行が不幸に終る前兆のように感じたのである。
急行の出る九時が段段近づいて来ると共に、客がぽつぽつこの間に這入って来て、中には老人や子供の交った大勢の組もあるので、純一の写象はやっと陰気でなくなった。