Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
その神聖なる場所は、岡村という男との差向いの場所ではないか。根岸で嬉しく思ったことを、ここでは直ぐに厭に思う。地を易うれば皆然りである。
次の間に入って跪いたしづ枝が、「小泉様がお出でになりました」と案内をして、徐かに隔ての障子を開けた。
「さあ、こっちへ這入り給え。奥さんがお待兼だ」声を掛けたのは岡村である。さすがに主客の行儀は好い。手あぶりは別々に置かれて、茶と菓子とが出る。しかし奥さんの傍にある置炬燵は、又純一に不快な感じを起させた。
しづ枝に茶を入れ換えることを命じて置いて、奥さんは純一の顔をじっと見た。
「あなた、いつから来ていらっしゃいますの」
「まだ来たばっかりです。来ると直ぐあなたにお目に掛かったのです」
「柏屋には別品がいるでしょう」と、岡村が詞を挟んだ。
「どうですか。まだ来たばっかりですから、僕には分かりません」
「そんな事じゃあ困るじゃないか。我輩なんぞは宿屋に着いて第一に着眼するのはそれだね」
声と云い、詞と云い、だいぶ晩酌が利いているらしい。
「世間の人が皆岡村さんのようでは大変ですわね」奥さんは純一の顔を見て、庇護するように云った。