Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜのたより
風の便り
Lesen Sie 風の便り (かぜのたより) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.044 Zeichen · 66 Bildschirme
私はあきらめて岩にくだけて躍る水沫をしばらく眺め、それから帰りました。部屋へ帰ってから財布が懐に無い事に気が附きうろたえました。きっと釜が淵のあたりに落したのだ。そうして、あの女に拾われてしまったのだと、なぜだか電光の如くきらりと思い込んでしまいました。きっとあの人には盗癖があって、拾っても知らぬ振りをしているのだ。あんな淋しそうな女には、意外にも盗癖があるものだ。けれども私は、ゆるしてやろう。などと少しロマンチックな興奮を取り戻して、部屋を出てまた岩風呂のほうへ降りて行く途中で、その財布が私の浴衣の背中のほうに廻っているのを発見して、しんから苦笑しました。私は、ラヴ・ロマンスをあきらめます。「五十円」という題の貧乏小説を書こうと思います。五十円持って旅に出たまずしい小心者が、そのお金をどんな工合いに使用したか、汽車賃、電車代、茶代、メンソレタム、一銭の使途もいつわらず正確に報告する小説を書こうと思います。
ふざけた事ばかりを書きました。きょうは女房から手紙が来ました。御自重下さい、と書かれていましたので、げっそり致しました。しず子(私のひとり娘です。