Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖 (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.957 Zeichen · 114 Bildschirme
そういう溜息がでた後は、いつでもきまってお体が悪くなる。気をかえて、雲雀の声でもお聞きなせえ」
「思い出すと腹が立つもの……」
「まアよろしいじゃござンせんか。これが、大江山へでもさらわれて、酒顛童子のようなやつを亭主にしたというのなら、そりゃ諦めもつきますまいが、城下端れの小粋な寮へ納まって、お化粧料もタップリなら、遊山やぜいたくもしたい三昧、森啓之助様の思われもので、お米の方様というお身分は、決して悪い仕合せじゃございませんぜ」
この仲間の粘り舌が、少ししつこくなってきたので、傷つきやすい旅の心は、急に女を憂鬱にさせた。
もう、いわずもがなのことだが、この痩形の美人こそ、去年の秋まで、大阪の立慶河岸にいた川長の娘お米であった。
連れているのは啓之助の仲間、お米を阿波へ運ぶ時に、骨を折った宅助である。二人の口ぶりから察するに、お米はその後、心ならずも、啓之助の意に従わねばならぬ、余儀ない境遇に落ちているらしい。
だが、その心の奥底には、当然、まだ啓之助の腕では、ねじ伏せきれないものかあるだろう。
それが二人の会話にチラチラ出る。弱い女の不平と反抗だ。