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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖 (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.957 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

白粉くずれ

「あー、お前も少し密輸入をやったことがあるな。しかも、そいつア美しい生物で、イヤだと泣くのを手込にして、お関船の底へ隠し、他領者を入れちゃならぬ御城下へくわえこみながら、殿様の目をかすめているという人相だ……」

と、啓之助をゆすっていると、どこからか、ヒュッ――と風を切ってきた矢が、三次の喉笛を貫いて、白い矢羽を真ッ赤に染めた。

白粉くずれ

ひどく酒の醗酵する香がすると思うと、そこは山役人の食料や調度の物を入れておく納屋らしく、裏の土間に、咽せるばかりな酒樽が積んである。

お米は、そこの薄暗い一間に、いつまでも待たされていた。もとより装飾も何もない部屋なので、夜になることを思うと、急に心細くなった。それに、家の中に蒸れている酒の気がたまらなく鼻をついて、香だけでも酔いそうになった。

それとは反対に、宅助は、冷酒を酌んで、五、六杯も盗み飲みをした揚句、いつか、裏土間の藁の上へ、高鼾をかいて居眠ってしまった様子。

重い戸の開く音がした。啓之助が入ってきたのである。真っ青な顔をして――。

「お米……」

「旦那様ですか」

「ウム、どこにいるのじゃ」

「こちらの部屋でございます」