Japanische Klassiker mit Furigana
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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
Lesen Sie 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) von 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.693 Zeichen · 377 Bildschirme
』と繰返して喞つ傍から、同行の者が頻りにそれを慰めている。前には拷問の呻きを聞き、今またこの悲しい声を耳にして、熟々旅寝のいぶせき事も知ったし、その上自分も父が旅に病んでいて、それがためにこういう淋しい旅行をするのかと思うといよいよ夢も結ばれぬのであった。
その翌日、起きて見ると、宿の伜が田舎角力仲間ででもあるらしい大きな肥満した身体でいながら、神棚に向って拍手して一心に礼拝していた。なんでもそれが前夜胡麻の蠅を拷問した頭であったらしい。かかる荒くれ者でも神に対してする神妙な態度を見れば、いぶせき宿もまた頼もしいような感がした。この和田浜の宿では唐饅頭という飴を餡にした下等な菓子が名物であった。菓子好の私は前夜も朝もそれを沢山喰べた。
その翌日はまだ日の高い内に丸亀港へ着いた。この港はもっぱら金比羅詣の船が着く処で、旅人の往来も頻繁だから船問屋兼業の宿屋も数々あった。私もある宿屋に投じ、暫く休息した。これから乗る船はその頃渡海船といって、金比羅参詣の客その他商人等を乗せるが、またわれわれ如き両刀を帯した者もそれに交って乗っていた。もうここへ来ると少しも侍の権威はない。