Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
その人形と云うは、路易朝末期の格檣襞服をつけたる等身人形にして、帷幕の蔭にある寝台上にあり、用いたる自殺用短剣は、その護符刀ならんと推定さる。のみならず、算哲の身辺事情中には、全然動機の所在不明にして、天寿の終りに近き篤学者が、いかにしてかかる愚挙を演じたるものや、その点すこぶる判断に苦しむところと云うべし――。
「どうだね支倉君、第二回の変死事件から三十余年を隔てていても、死因の推定が明瞭であっても動因がない――という点は、明白に共通しているのだ。だから、そこに潜んでいる眼に見えないものが、今度ダンネベルグ夫人に現われたとは思えないかね」
「それは、ちと空論だろう」と検事はやり込めるような語気で、「二回目の事件で、前後の聯関が完全に中断されている。何とかいう上方役者は、降矢木以外の人間じゃないか」
「そうなるかね。どこまで君には手数が掛るんだろう」と法水は眼で大袈裟な表情をしたが、「ところで支倉君、最近現われた探偵小説家に、小城魚太郎という変り種がいるんだが、その人の近著に『近世迷宮事件考察』と云うのがあって、その中で有名なキューダビイ壊崩録を論じている。