Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
二、Salamander soll gluhen(火精よ燃え猛れ)
内部は漆黒の闇で、穴蔵のような湿った空気が、冷やりと触れてくる。ところが、どうしたことか、中途で法水は不意動作を中止して、戦慄を覚えたように硬くなってしまった。が、その様子は、どうやら耳を凝らしているように思われた。刻々と刻む物懶げな振子の音とともに、地底から轟いて来るような、異様な音響が流れ来たのであった。
二、Salamander soll gluhen(火精よ燃え猛れ)
しかし、法水は、いったん止めた動作を再び開始して、両側の扉を一杯に開ききると、なかには左右の壁際に、奇妙な形をした古代時計がズラリと配列されていた。外光が薄くなって、奥の闇と交わっている辺りには、幾つか文字面の硝子らしいものが、薄気味悪げな鱗の光のように見え、その仄かな光に生動が刻まれていく。と云うのは、所々に動いている長い短冊振子が、絶えず脈動のような明滅を繰り返しているからであった。この墓窖のような陰々たる空気の中で、時代の埃を浴びた物静けさが、そして、様々な秒刻の音が、未だに破られないのは、恐らく誰一人として、つめきった呼吸を吐き出さないからであろう。が、その時、中央の大きな象嵌柱身の上に置かれた人形時計が、突然弾条の弛む音を響かせたかと思うと、古風なミニュエットを奏ではじめたのであった。