Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme

Aozora Bunko

第一篇 死体と二つの扉を繞って

一、栄光の奇蹟

第一篇 死体と二つの扉を繞って

一、栄光の奇蹟

私鉄T線も終点になると、そこはもう神奈川県になっている。そして、黒死館を展望する丘陵までの間は、樫の防風林や竹林が続いていて、とにかくそこまでは、他奇のない北相模の風物であるけれども、いったん丘の上に来てしまうと、俯瞰した風景が全然風趣を異にしてしまうのだ。ちょうどそれは、マクベスの所領クォーダーのあった――北部蘇古蘭そっくりだと云えよう。そこには木も草もなく、そこまで来るうちには、海の潮風にも水分が尽きてしまって、湿り気のない土の表面が灰色に風化していて、それが岩塩のように見え、凸凹した緩斜の底に真黒な湖水があろうと云う――それにさも似た荒涼たる風物が、擂鉢の底にある墻壁まで続いている。その赭土褐砂の因をなしたというのは、建設当時移植したと云われる高緯度の植物が、またたく間に死滅してしまったからであった。けれども、正門までは手入れの行届いた自動車路が作られていて、破墻挺崩しと云われる切り取り壁が出張った主楼の下には、薊と葡萄の葉文が鉄扉を作っていた。その日は前夜の凍雨の後をうけて、厚い層をなした雲が低く垂れ下り、それに、気圧の変調からでもあろうか、妙に人肌めいた生暖かさで、時折微かに電光が瞬き、口小言のような雷鳴が鈍く懶気に轟いてくる。