Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
はたせるかな、この予測は的中した。最初から死体を見ぬにもかかわらず、はや法水は、この館の雰囲気を摸索ってその中から結晶のようなものを摘出していったのであった。
玄関の突当りが広間になっていて、そこに控えていた老人の召使が先に立ち、右手の大階段室に導いた。そこの床には、リラと暗紅色の七宝模様が切嵌を作っていて、それと、天井に近い円廊を廻っている壁画との対照が、中間に無装飾の壁があるだけいっそう引き立って、まさに形容を絶した色彩を作っていた。馬蹄形に両肢を張った階段を上りきると、そこはいわゆる階段廊になっていて、そこから今来た上空に、もう一つ短い階段が伸び、階上に達している。階段廊の三方の壁には、壁面の遙か上方に、中央のガブリエル・マックス作「腑分図」を挾んで、左手の壁にジェラール・ダビッドの「シサムネス皮剥死刑の図」、右手の壁面には、ド・トリーの「一七二〇年マルセーユの黒死病」が、掲げられてあった。いずれも、縦七尺幅十尺以上に拡大摸写した複製画であって、何故かかる陰惨なもののみを選んだのか、その意図がすこぶる疑問に思われるのだった。しかし、そこで法水の眼が素早く飛びついたというのは「腑分図」