Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
何故に犯人が、津多子夫人の自由を奪って拘禁したか――という事なんだ。あるいは僕の思い過しかもしれないがね。そういう手段を採るに至った陰険な企みと云うのが、もしかしたら、意識が恢復してから吐かれる、言葉の中にあるのではないかと思われるんだよ。どうして、破れ目がありそうだと、そこにはきまって陥穽があるんだから」
真斎は法水の驚くべき曝露に遇ったせいか、この十分ばかりの間に、見違えるほど憔悴してしまった。力のない手附で、四輪車を操りながら、何か云い出そうとして哀願的な素振をすると、
「判ってますよ田郷さん」と法水は軽く抑えて、「貴方の採った処置については、僕の方から、熊城君によろしく頼んでおきましょう。ところで、押鐘津多子夫人の姿が見えなくなったのは、昨夜何時頃でしたか」
「それが、大分遅くなってからでしてな。なにしろ、神意審問会に欠席されたので、その折初めて気がついたのですよ」と真斎はようやく安堵の色を現わして云った。「ちょうど夕刻の六時頃に、御夫君の押鐘博士から電話が掛ってまいりました。そして、昨夜九時の急行で、九大の神経学会に行くとかいう旨を伝えられたそうですが、その時召使の一人が、津多子様が電話室からお出になったのを見たのみで、それなり、吾々の眼には触れなくなってしまわれたのです。