Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
の恍惚境において、聖女として迎えられたのであろうか――と、知らず知らず洩れ出てくる嘆声を、果てはどうすることも出来なくなってしまうのだった。しかし、同時にその光は、そこに立ち列んでいる、阿呆のような三つの顔も照していた。法水もようやく吾にかえって調査を始めたが、鎧窓を開くと、その光は薄らいでほとんど見えなかった。死体の全身はコチコチに硬直していて、すでに死後十時間は十分経過しているものと思われたが、さすが法水は動ぜずに、あくまで科学的批判を忘れなかった。彼は口腔内にも光があるのを確かめてから、死体を俯向けて、背に現われている鮮紅色の屍斑を目がけ、グサリと小刀の刃を入れた。そして、死体をやや斜めにすると、ドロリと重たげに流れ出した血液で、たちまち屍光に暈と赤らんだ壁が作られ、それがまるで、割れた霧のように二つに隔てられてゆき、その隙間に、ノタリノタリと血が蜿くってゆく影が印されていった。検事も熊城も、とうていこの凄惨な光景を直視することは出来なかった。
「血液には光はない」と法水は死体から手を離すと、憮然として呟いた。「今のところでは、なんと云っても奇蹟と云うよりほかにないだろうね。