Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
二、テレーズ吾を殺せり
二、テレーズ吾を殺せり
「どう見ても、僕にはそうとしか思えない」と検事は何度も吃りながら、熊城に降矢木家の紋章を説明した後で、「何故犯人は、息の根を止めただけでは足らなかったのだろうね。どうしてこんな、得体の判らぬ所作までもしなければならなかったのだろう?」
「ところがねえ支倉君」と法水は始めて莨を口に銜えた。「それよりも僕は、いま自分の発見に愕然としてしまったところさ。この死体は、彫り上げた数秒後に絶命しているのだよ。つまり、死後でもなく、また、服毒以前でもないのだがね」
「冗談じゃないぜ」と熊城は思わず呆れ顔になって、「これが即死でないのなら、一つ君の説明を承ろうじゃないか」といきり立つのを、法水は駄々児を諭すような調子で、
「ウン、この事件の犯人たるや、いかにも神速陰険で、兇悪きわまりない。しかし、僕の云う理由はすこぶる簡単なんだ。だいたい君が、強度の青酸中毒というものをあまり誇張して考えているからだよ。呼吸筋は恐らく瞬間に痲痺してしまうだろうが、心臓が全く停止してしまうまでには、少なくとも、それから二分足らずの時間はあると見て差支えない。ところが、皮膚の表面に現われる死体現象と云うのは、心臓の機能が衰えると同時に現われるものなんだがね」