Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
そして、蔕のないところから推して、そこから泥状の青酸加里が注入されたものと推断された。
法水は果物皿から眼を離して、室内を歩きはじめた。帷幕で区劃られているその一劃は、前方の室といちじるしく趣を異にしていて、壁は一帯に灰色の膠泥で塗られ、床には同じ色で、無地の絨毯が敷かれてあって、窓は前室のよりもやや小さく、幾分上方に切られてあるので、内部ははるかに薄暗かった。灰色の壁と床、それに黒い帷幕――と云えば、その昔ゴードゥン・クレイグ時代の舞台装置を想い出すけれども、そういう外見生動に乏しい基調色が、なおいっそうこの室を沈鬱なものにしていた。ここもやはり、前室と同様荒れるに任せていたらしく、歩くにつれて、壁の上方から層をなした埃が摺り落ちてくる。室内の調度は、寝台の側に大酒甕形の立卓笥があるのみで、その上には、芯の折れた鉛筆をつけたメモと、被害者が臥る時に取り外したらしい近視二十四度の鼈甲眼鏡、それに、描き絵の絹覆をつけた卓子灯とが載っていた。近視鏡もその程度では、ただ輪廓がぼっとするのみのことで、事物の識別はほとんど明瞭につくはずであるから、それには一顧する価値もなかった。