Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme

Aozora Bunko

と云うのは、色と音が妖しい幻のように、入りみだれている眼前の光景には、たった一目で、十分感覚を奪ってしまうものがあったからだ。下髪の短いタレイラン式の仮髪に、シュヴェツィンゲン風を模した宮廷楽師の衣裳。その色濃く響の高い絵には、その昔テムズ河上におけるジョージ一世の音楽饗宴が――すなわちヘンデルの、「水楽」初演の夜が髣髴となってくるように、それはまさしく、燃え上らんばかりの幻であり、また眩惑の中にも、静かな追想を求めてやまない力があった。

法水一行は、最後の列に腰を下して、陶酔と安泰のうちにも、演奏会の終了を待ち構えていた。しかも、彼等のみならず、誰しもそうであったろうが、このように煌々と輝く大装飾灯の下では、まずいかなるファウスト博士といえども、乗ずる隙は、万が一にもあるまいと信じられていた。ところが、そのうち竪琴のグリッサンドが、夢の中の泡のように消えて行って、旗太郎の第一提琴が主題の旋律を弾き出すと、……その時、実に予想もされ得なかった出来事が起ったのである。突然聴衆の間から湧き起った、物凄じい激動とともに、舞台が薄気味悪い暗転を始めたのであった。