Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、闇の中に一つの人容を描いて、じいっと捉まえて放さない幻があった。

仮令犠牲者は誰であっても、その下手人は、オリガ・クリヴォフ以外にはない。しかも、あの皮肉な冷笑的な怪物は、法水を眼下に眺めているにもかかわらず、悠々と一場の酸鼻劇を演じ去ったのである。恐らく今度も、矛盾撞着が針袋のように覆うていて、あの畏懼と嘆賞の気持を、必ずや四度繰り返すことであろう。しかし、擲弾の距離はしだいに近づいて、すでに法水は、相手の心動を聴き、樹皮のように中性的な体臭を嗅ぐまでに迫っていたのだ。ところが、その矢先――焔の尽きたが弓のように垂だれて、燐寸が指頭から放たれた。と、キァッという悲鳴が闇をつんざいて、それが伸子の声であるのも意識する余裕がなく、法水の眼は、たちまち床の一点に釘づけされてしまった。

見よ――そこには硫黄のように、薄っすら輝き出した一幅の帯がある。そして、その下辺のあたりから、幾つとない火の玉が、チリチリと捲き縮んでいって、現われてはまた消えてゆくのだった。しかし、それに眼を止めた瞬間、法水のあらゆる表情が静止してしまった。彼の眼前に現われた一つの驚くべきもの以外の世界は――座席の背長椅子も、頭上に交錯している扇形の穹窿も、まるで嵐の森のように揺れはじめて、それ等がともども、彼の足元に開かれた無明の