Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
を見ると、ベーコンがギルフォードの会堂で、屍体の背に精密な十字架を表わしたという逸話が載っている。けれどもまた一方、発火鉛(酒石酸を熱して密閉したもの。空気に触れると、舌のような赤い閃光を発して燃える)を、硫黄と鉄粉とで包んだと云われる、ベーコンの投擲弾を考えると、そこに技巧呪術の本体が曝露されなければならない。と同時に、この事件にも、それが創紋の生因を明らかにしてくれたのだよ。熊城君、君は、心臓停止の直前になると、皮膚や爪に生体反応が現われなくなるのを知っているだろう。また、衝動的な死に方をした場合には、全身の汗腺が急激に収縮する。そして、その部分の皮膚に閃光的な焔を当てると、そこには、解剖刀で切ったような創痕が残されるのだ。勿論犯人は、それをダンネベルグ夫人の断末魔に、乾板へ応用したのだったよ。で、その方法を云うと、まず二つの紋章を乾板から切り取って、その輪廓なりに、橄欖冠を酸で刻んでゆく。それから、その二つを筋なりに合わせて、その空洞の中で発火鉛を作ったのだ。だから、手早くそれを顳に当てさえすれば、発火鉛が閃光的に燃えて、溝なりにあの創紋が残るという道理じゃないか。