Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
それを見て、熊城が点滅器を捻ると、その異様な霧が、今度は法水の、病的な探究の雲に変っていった。やがて、彼はニタリとほくそ笑んで、二人を顧みた。
「この微孔の存在理由は、ある意味では隠れ衣であり、また、一種の水晶凝視を起すにもあったのだ。それぞれ芯孔に通じているので、そこから導かれてきた蝋の蒸気が、蝋身を伝わって立ち上ってゆく。しかし、そうなって、ダンネベルグ夫人の顔前に蒸気の壁が出来、さらに、中央の三本に焔を瞬かせて、光を暗くするとだ。当然、円陣の中央にいる一人の顔は、異常のない両端の光から最も遠くなる。したがって、その顔が、ダンネベルグ夫人からは全然見えなくなってしまうのだ。また、同時に両端の二本も、両側から上ってくる蒸気に煽られて、焔が横倒しになる。そして、光の位置がさらに偏るので、当然両端にいる二人の顔も、この位置から見ると、光に遮られて消えてしまうのだよ。つまり、旗太郎・伸子・セレナ夫人――と、こう数えた三人というのは、仮令中途でこの室から出たにしても、その姿を、ダンネベルグ夫人は当然見ることが出来なかっただろう。また、それ以外の人達も、この異常な雰囲気のために、恐らく周囲の識別を失っていただろうからね。