Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
すると、あの方は御要心深くも、それに毒味をお命じになったのです」
「ハハァ、恐ろしい神経ですね。では、誰が?」
「伸子さんでした。ダンネベルグ様もそれを見て御安心になったらしく、三度も盃をお換えになったほどでございます。それから、御寝になったらしいので、旗太郎様が寝室の壁にあるテレーズの額をはずして、伸子さんと二人でお持ち帰りになりました。いいえ、テレーズはこの館では不吉な悪霊のように思われていて、ことにダンネベルグ様が大のお嫌いなのでございますから、旗太郎様がそれに気付かれたというのは、非常に賢い思い遣りと申してよろしいのです」
「だが、寝室にはどこぞと云って隠れ場所はないのですから、その額に人形との関係はないでしょう」と検事が横合から口を挾んで「それよりも、その飲み残りは?」
「既に洗ってしまったでしょう。ですが、そういう御質問をなさると、ヘルマン(十九世紀の毒物学者)が嗤いますわ」鎮子は露骨に嘲弄の色を泛べた。
「もし、それでいけなければ、青酸を零にしてしまう中和剤の名を伺いましょうか。砂糖や漆喰では、単寧で沈降する塩基物を、茶といっしょに飲むような訳にはまいりませんわ。