Japanische Klassiker mit Furigana
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あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Lesen Sie あなたも私も (あなたもわたしも) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.405 Zeichen · 263 Bildschirme
「神月は、相変らず、くだらない生活をしているらしいが、神月にたいするうらみは、その夜かぎり、私も忘れたし、家内も忘れた……家内は、銀座あたりで、ときどき神月を見かけるそうだが、いつ見ても、あのひとは美しい、こっちは、おばあさんになって、もう相手にもされないけど……などと、笑いながら話すようになりました」
余談のようなことをいっておいて、だしぬけに話題を変えた。
「愛一郎ってのは、いい青年だね……あれがやっているのは、母親の生前の秘密を、他人に知られたくないという、おとぎばなしのようなことなんだが、やろうと思ったら、どこまでもやりぬこうとする、気概のあるところが気に入った」
愛一郎の母は、秋山と結婚するいぜんに、夏の鎌倉で神月のまどわしにかかって身を誤った。
そのころ、神月に送った手紙の束が、別荘の大谷石の壁暖炉の、嵌こみになったところに放りこんであることを知っていたが、どんなに頼んでも、返してくれなかった。夫人は、秋川からも、愛一郎からも、貞潔なひとだと思われていたので、手紙の所在を苦にして、二十年も悩んだすえ、最後の日に、告解の意もあって、その事実を日記に書きつけて死んだ。