Japanische Klassiker mit Furigana
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あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Lesen Sie あなたも私も (あなたもわたしも) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.405 Zeichen · 263 Bildschirme
「あたしに、生活なんてもの、ないみたい……一日一日が、ぼんやりと過ぎていくだけ」
「なんとかモデルって仕事、月にどれくらい収入がある?」
「ショウですと、ワン・ステージ八百円、一枚、着換えるごとに、二百円。写真のほうは、ポスターが……」
叔母は、めんどうくさそうに手を振った。
「そんな、こまかいことを聞いたって、あたしにはわからない。結局、どうなのよ」
「七、八、九と、三カ月は完全にお休みだし、あたしたちのクラスは、いい月で八千円、わるくすると、千円にもならない月があるの……若い女がダブついているのがいけないのよ」
「ちょっと、うかがうけど、それは、仕事なの? 遊びなの?」
賢夫人だけあって、こういうやりとりになると、ひとのいちばん痛いところを突いてくる。どっちだろうと、サト子が、考えているうちに、間をおかずに、叔母が、おっかぶせた。
「そんなもの、やめちゃいなさい。はやく、お嫁に行くサンダンでもするほうがいいわ……手紙でいってやった、山岸さんの話は、どうなの?」
山岸芳夫というのは、子供のころ、ここの澗で泳いだ「お別荘組」のひとりだった。春ごろ、日比谷の近くで会ったが、あのときの泣虫の子供が、ひとかどのおとなになって、口髭をはやしているのには、笑った。