Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あなたもわたしも

あなたも私も

久生 十蘭

Lesen Sie あなたも私も (あなたもわたしも) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.405 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「けさ、亡妻の七回忌をやったままなので、失礼して、ちょっと着かえてきます」

そう言って、部屋から出て行った。

ひととき、百舌が鳴きやむと、山の深いしずけさが、かえってくる。

黒樫の腰板をまわした、天井の高い客間の南側は、いちめんにガラス扉で、そこから谷を見おろす、ひろびろとした芝生の庭に出られる。芝生の端は、松林で区切られ、しゃれた囲いをつけた、西洋風の四阿が建っていた。

「やはり、来るんじゃ、なかった」

サト子はソファに沈みこんで、あてどもなく芝生の庭をながめているうちに、うかうかとこの家へやって来たことを、悔みだした。

愛一郎の父が、扇ヶ谷の家へと言ったのは、苦境から救いだすための臨機の弁で、ほんとうは、来てもらいたいのではなかった。それに、きょうは間の悪い折だったらしい。車のそばで、秋川の親子がなにを争っていたのか知らないが、なにかゴタゴタした空気が感じられる。

勢いよく奥のドアが、あいた。

警官かとも思わなかったが、サト子は、あわててソファから立ちあがった。

すっきりとしたひとがはいってきて、しげしげとサト子の顔を見てから、歯ぎれのいい口調で、あいさつをした。