Japanische Klassiker mit Furigana
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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
Lesen Sie いなか、の、じけん von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.535 Zeichen · 78 Bildschirme
結局、娘の親たちへ知らせなければなるまい……というので、とりあえず青年会員が二人、娘のうちへ自転車を乗りつけると、晴れ着をホコリダラケにしたその娘が、おやじに引き据えられて、泣きながら打たれている。
二人の青年は顔を見合わせたが、ともかくも飛び込んで押し止めて、
「これはどうした訳ですか」
と尋ねると、おやじは面目なさそうに頭を掻いた。
「ナアニ。こいつがこの頃流行るスットントンという歌を知らんちうて逃げて帰って来たもんですけに……どうも申訳ありませんで……」
二人の青年はいよいよ訳がわからなくなった。そこで、なおよく事情をきいてみると、最前女を馬力に乗せて引いて行った青年が、途中でスットントン節をくり返しくり返し唄った。それは娘に初耳であったので、先方で弾かせられては大変と思って、一生懸命に耳を澄ましたが、あいにくその青年が調子外れ(音痴)だったので、歌の節が一々変テコに脱線して、本当の事がよくわからない。これではとても記憶えられぬと思うと、女心のせつなさに、下駄と三味線を両手に持って、死ぬる思いで馬力から飛び降りて逃げ帰ったものと知れた。
青年の一人はこの話をきくと非常に感心したらしく、勢い込んで云った。