Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
あれきり放っておいても、俺が望んでいたような、いや、恐れていたから望んでいた悪化はなかった。そうなると俺も、あの大学生崩れはたとえどんなに癪にさわっても、俺のリン病をこうしてなおしてくれたあの医者には、やはりひとこと礼を言いに行かなきゃいかんかなとも思った。思ったが、俺は行かなかった。――
「おっ!」
と俺は叫んだ。丸万の奴が、新しく作ったでっかい黒旗をぶっ立てて、仲間をひきつれて得意満面でやってきた。仲間と言っても五六人ほどで、長蛇の列をなしている赤旗のデモとくらべると、恥しいみたいなものだが、それだけにまた意気軒昂と俺の眼の前に現われた。俺は拍手を送ってやろうと、手を顔の高さまであげた。だがすぐ、その手はぐにゃりとさげられた。傍観者としての自分を、丸万に見せることを俺は恥じた。
これでは全く、今の俺は革命家を廃業している。なにくそと俺は歯をきりりと噛み鳴らした。
丸万の姿は俺の眼の前から去った。俺の眼の前は赤旗でみたされた。丸万はいつか、俺が大学出の玉塚英信を呼んできて研究会をやろうとしたら、ボルの真似みたいだと(それは俺自身の言葉だが、丸万の軽蔑的な表情が俺にそう言っていたから俺が口に出して言ったのだ)丸万はせせら笑った。