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Japanische Klassiker mit Furigana

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さまようまちのさまよういえのさまようひとびと

さまよう町のさまよう家のさまよう人々

国枝 史郎

Lesen Sie さまよう町のさまよう家のさまよう人々 (さまようまちのさまよういえのさまようひとびと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.916 Zeichen · 75 Bildschirme

Aozora Bunko

十八

(変だな)

と私は思いました。

夜遊神などというものは、のっけに代価を云うものですのに、この女はそれを云いません。

夜遊神などというものの巣は、あさましいみすぼらしいものであって、よい音楽だの、よい風呂だの、よい絵画だのよい盆栽だのと、そんなものを備えてなんかいない筈です。

それだのにそんなものを備えているという。云い方に嘘は無さそうである。

(変だな)と思わざるを得ませんでした。

「一体どこへ行くんだい。何処へ連れて行ってくれるんだい?」

真面目に私は訊いて見ました。

すると女も真面目に答えました。

「さまよう町の、さまよう家の、さまよう人々の所へ。……ね。ご一緒に参りましょうよ」

十八

私は一瞬間ぼんやりし、次の瞬間には用心しました。

この私の心の動揺は、貴郎にも解っていただけるでしょうね。

全く驚かされて了いました。

だって然うじゃァありませんか。

私が知り度いと熱望していた「さまよう町の、さまよう家の、さまよう人々」のいる所へ、そんな夜遊神が連れて行ってくれると、余りにおあつらえ向きに云ってくれたのですもの。

私はつくづくと女を見ました。

と、卒然と心の中へ、一つの疑問が浮かんで来ました。