Japanische Klassiker mit Furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
せがれは一人息子であるが、実はその三年後の早春のころ、もうひとり女の子が生れたのであった。それは生れるとすぐ死んでしまった。いや死ぬために生れ出たようなかわいそうな子供であった。その不便さが、二十数年間わたくしの心の底に深く蔵されていたに相違ない。そうしてそれが、その兄の結婚談と一緒にわたくしに思い出されたものでもあろう。ああもしあれが生きていたとすれば、もう二十四五にもなっていたろうに。わたくしの潜在意識は多分そんなことを考えたのでもあろう。わたくしのありありと見た壁に倚りかかってわたくしに笑いかけようとしていたのは正しく二十四五の若い女であった。
その女の子は生れる時から不思議であった。その出産の日の早朝の夢に、わたくしは子供が生れたがそれが猫の子であったと聞かされて、そんな馬鹿な話があるものかと思って夢がさめたものであった。するとその後三四時間経って産院から出産の通知があった。わたくしは早朝の夢を思い出しながら産院に駆けつけてみると、
医者はわたくしの姿を見るや
「先刻、無事にお産はすみました」
と云いながらもつづいて「お目度うございます」