Japanische Klassiker mit Furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
恰もその時刻わたくしども夫妻は家の応接間にいて二階のわたくしの居間には、七つになる孫むすめがひとりでテレビの前にいたのだが、それがあわただしく降りて来た。何ごとかと出て行った家内をつかまえて
「おばあちゃん、今こわかったの。二階に誰か来て、表の戸をガタガタさせるので出てみたが誰も居ないのだもの」
「風か何かでしょう」
「ちがう。足音もしたもの」
「でも、誰も二階へはあがって行かないのだから」
「だって、ほんとうに誰か来たわよ」
と七つの子はそれを力説する。見ていたというテレビの番組の時間と牧野の死の時刻とを照し合してみると、偶然か必然か、それがほとんど同じ時刻なのであった。牧野は三日後にわたくしを必ず訪問しようという先日の約束を果したかのようにわたくしには思える。
この間も九州旅行中、さるささやかな薩南の温泉宿に一泊して、枕についてまだ就眠したかせぬうちに、不意に背後のふとんの上から、さながら空手チョップのようなひどい一撃を浴びせられて驚いた。あたりに人がいるではなし夜更けではあり不気味だから枕もとの電燈をつけると何やら黒いものの影が見えたようでもあり見えなかったようでもあって、あたりには何事もない。