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Japanische Klassiker mit Furigana

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あじさい

たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集

佐藤 春夫

Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

何しろ洒麗た細工だなあ。」

そう自分の売物をほめたのも買うときまったわたしには、愉快でした。それでわたしも店さきを見まわしたりして、そこに掛っていた古びた銅板画の額などをほめたものです。全くちょっと見あたらないしにせらしい、それも落ちぶれたしにせらしい床しさのある店でした。

そこで肝腎の時計だが、それは約束どおり三日目のひるすぎに、暑いさかりを店の主人が自分で運んできて、それを掛ける釘までうってちゃんと壁の真中へかけて行ってくれたのでした。時計は楽しそうに振子を動かしています――これは風にゆれる一房の葡萄の実。熟れて命のように甘いたった一房の葡萄の実――わたしは、その時計を半日見とれていて夜になると、前に言ったような詩みたようなものを書いたのです。ともかくもうれしかったのです。

そこへ持って来てあの地震!

あとでしらべてみると、私の時計は壁から落っこちてはいなかったけれど、彼は落っこちまいと精一杯努力して居るうちにとうとう発狂してしまっていた。わたしはそれを手をつくして直させたが、彼の狂いはどうしても本当には全快しなかった。彼は結局半気違いだった――出鱈目の時を打ち響かす。