Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
親爺は、はじめてにやにやとした。
「さあ、なんでも言いつけてくんな、どんな仕事でもやるよ」
と、私は大きく出た。
この親爺は、この都会の掃除屋仲間では最も古顔で、出入りの客筋を数多く持っていた。私には二人の先輩がいた。一人は四十格好の痩せ形の男で、狡猾らしい人相を持っていた。一人は、三十二、三歳か骨格の逞しい土方上がりでもあるらしい好人物である。親爺は、この二人を連れて毎日、出入先の煙突や溝を掃除して歩いていたのである。そこへ、きょうから私という新米が一人罷り出たわけである。
勝手元や風呂場にある直径四寸の煙筒を一本掃除して手間賃が金五銭。五寸の煙筒が六銭、七寸が十銭。風呂屋や製糸工場には大きな煙突が立っているけれど、ここには釜焚きがいて掃除するから、掃除屋の手にはかけないのである。しかし、溝の方は釜焚き人夫が手を出すのを嫌うから、掃除屋の仕事となっていた。
溝掃除は、煙突掃除よりも仕事が汚い上に骨が折れるから、賃銀が高い。でも、いかに高いといったところで、一仕事で一円以上というのは、めったにない。普通二、三十銭を頂戴する溝掃除が最も多い。
煙突掃除や、簡単な溝掃除は一人で行くことになっているが、大きな溝掃除となると総動員で行く。