Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
三
ところで、以上のような賃銀であるけれど、この賃銀のうちから親爺に頭をはねられ、また難工事は頭割りとなっているから、早暁から夕方まで働いたところで、一日金一円の収入を得るというのは甚だ困難であると、二人の先輩と親爺が代わる代わる私に説明した。
「それでも、お前はやる気があるのかい」
年長の方の先輩が私に問うた。
「遊んでいて、ひもじい思いをしているのより結構だ」
と、私は答えたが、いかに浜口内閣の不景気政策のおかげとはいえ、煙突一本掃除して金五銭とは情けないと思った。
三
私は、その日から二人の先輩の後について、仕事見習にでかけた。だが、たかが煙突掃除や溝掃除であるから大したことはない。
年長の先輩は、あば辰という異名を持っていた。顔に薄い白痙斑が浮いているからである。若い方は、樺太と呼ばれる。樺太で土工を稼いでいたからだ。
五、六日の後には、私は一人前の立派な掃除屋さんになっていた。ある日、花柳界の真ん中にある銭湯屋から溝掃除の申し込みがあった。これは、難工事であるというので、あば辰と樺太と私と三人で出かけて行った。
この風呂屋の湯尻は、直径一尺の土管を通して、道路に沿った掘割に注いでいるのであるが途中になに物か滞って不通となって湯水が溢れ出すというのである。