Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
二連銃ならば続いて撃てたのでしょうが、私のように崖を這い岩をよじ登る猟人であると鉄の薄い二連銃では銃口が傷ついて使えなくなるので常に単発ばかり用いていました。
熊は穴から飛びだし、後脚で立って前脚で私につかみかかろうと、疾風のように向かってきました。なにしろ熊と私との間隔が僅かに三、四尺、五間か、十間も離れているのなら、弾を詰めかえる余裕もあるのですが、僅かに三、四尺の間隔では、どうすることもできません。
この巨熊に体当たりを喰えば、ひと堪りもない。私のからだなど、八つ裂きにされてしまいます。私は突嗟の間に、一歩身をかわしました。私に身をかわされたので、熊は肩すかしでも喰ったように、僅かに前脚の掌が私の腕の筒袖に触れただけで、前の方へ突っ走りました。それは間髪を容れないほどでした。
前の方は崖になっていたので、熊はそのまま崖の曲がりを縫って大きな岩のかげの方へ走って行きます。これから熊の進んで行く方面は、私に分かりました。そこで私は、充分に装填して熊の先回りをして、谷の底で待っていると熊は三十間ばかり上方の沢を渡って叢の残雪のなかへ這い上がりました。