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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lesen Sie ちくしょう谷 (ちくしょうだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.788 Zeichen · 138 Bildschirme

Aozora Bunko

隼人はそのことをかれらに云った。

――おまえたちは罪人ではないし、ここはもう流人村ではないのだ。誰に憚ることもない立派な領民だ、もし望むなら里へおりてもいいが、ここを動きたくないのなら農耕を覚えるがよい。ものを作り、収穫をするということには、人間だけが味わえる大きなよろこびがある。

――これは鬼神も鳥けものも知ることのできないよろこびだ。

隼人はそう云った。しかしかれらはなんの反応も示さなかった。鬼神や鳥けものは作物を作らない、というところで、僅か四五人がくすくす笑っただけであった。音曲のほうもそれと同じことで、五日に一度ずつ木戸から四人でかけてゆき、正内老人の住居で一刻半演奏をする。隼人も欠かさずいっしょにゆくが、聞きに来るのは男女の年寄が四人か五人で、それも半刻ほどすれば帰ってゆくか、残った者も居眠りを始めるというぐあいであった。

――いいだろう、根くらべだ。

隼人は失望したが、投げる気持はなかった。正内老人はここへ骨を埋めるつもりで、ここの女と夫婦になり、四十年という年月をかれらのために注ぎ込んで来た。それでも、かれらの殻をやぶることができなかったのである。