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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

併し、隣の邸からは、彼女の待っているような歌の声も聞えて来なければ、また背の高い青年の姿も現われなかった。………

彼女は一人で月見ヶ丘へ行ってみた。港の海は瑠璃色に輝き、船着場には新しい黄色い旗が上がっていた。

(なぜ、あたしの赤い煙突はあのように元気よく煙を吐くのかしら……そんな筈ではないのに!……そんな筈ではないのに!……)

彼女はそんな小さな赤い煙突に裏切られた自分を可哀相に思って泣いた。

秋の初めになって到頭、青年から手紙が来た。

僕の好きな人――僕はあなたが好きです。けれども、それはいけない事なのだそうです。あなたのお父さんもお母さんもそう仰有って僕をお叱りになったし、また僕のお父さんもお母さんもそう云って僕を叱りました。

僕も明日、イギリスの学校へ入るので、ここの家に、そしてあなたの二階の窓にもお別れします。

もう一生会えないかも知れません。

あなたが何時迄も丈夫でいられるように神様へお祈り致します。さ よ な ら

それから、うちの赤い煙突は、これから後、また煙が出なくなるかも知れませんけれども、心配しては駄目ですよ。あんな小っちゃな煙突が、あなたとどんな拘りがあるでしょう。