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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

――なあんだ。そうか……そんなことか。……」そう云って、今度は青年も一緒になって笑った。が、彼女はひょっと青年の眼に泪が一ぱい溜っているのを見たように思った。

それから彼女の赤い煙突は毎日煙をあげつづけた。三すじの青い煙や黒い煙が雪の中を勢いよく流れて行った。夜になると、風に懐しい音をたてて、ばら色の炎のさきをのぞかせた。彼女はそれを二階の窓からぼんやり眺めていた。病気でない日も、毎日眺めていた。ところが、彼女の心は、喜ばしさではなく、今は反対に薄い悲しみに鎖されていた。

(――どうして、あたしの赤い煙突は煙を吐いているのかしら?……)と彼女はそれが不当なことであるかのように思った。なぜと云って――その煙を吐いている赤い煙突のある西洋館の青年は、彼女の病気が癒ってしまうと、やがてぴったりと遊びに来るのを止めてしまったのだから。……

再び、夏が廻って来た。彼女の赤い煙突は朝夕煙を吐いた。彼女は二階へ上って毎日隣の邸を眺めた。窓敷居に凭って窓から首をさしのべると紅がら色の裏木戸も見えた。彼女の振分髪の先端には、今年も去年と同じ水色をしたリボンが華奢なはなびらのような姿に結ばれていた。