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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、外出の時には、ステッキの代りに、どんなお天気の日でも木綿の雨傘を携帯する位の技巧を会得した。勿論、もう不良少年たちから付けねらわれる憂はなくなった。

さて、私はH――氏に誘われて、時々バンフィリヤ酒場へ行った。其処には、「星の花」とH――氏が讃えた美しい女給がいたが、彼女は次第にH――氏よりも新しい私の方に心を惹かれるらしい素振りを見せた。勿論、H――氏のロマンティスト的厚意から、私自身の真価に分をつけるために、私がその都度勘定を支払ったせいもあったのであろう。私が七度目にそこで酔っぱらった機会に、「星の花」は私を物蔭へ招いてこう云った。

『明日、お休みなの。遊びに連れてって下さらない?――』

『僕がですか? しめしめ!』

『え、あんた一人。夕方の六時に、表停車場でお待ちしているわ。その代り、その時、指輪を一つ買って来て下さらなくては厭。』

『それだけ、埋め合わせがあると云う寸法ですね、値段に応じて。』

『だけど、高くないので結構。』彼女は指輪の形や石について好みを述べた。

『僕、約束します。』

『約束のしるし!……』

ロマンティストに栄えあれ! 私は、この果報に感激した。