Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
やっと隅っこの方に、たった一つ空いた卓子を見つけて、リバアのサンドイッチと玉蜀黍のシチュとを誂えた。ところが、サンドイッチを半分も食べない中に、同じ卓子に彼女と差し向いに、更に一人の客が席をしめた。
『リバアのサンドイッチと玉蜀黍のシチュ。大急ぎで!――』とその客が給仕に命じた。
智子は顔を上げて、自分とすっかり同じ品を注文する客の方を見た。青い仕事衣の胸からネクタイを着けない白い襯衣の襟をはみ出させている体格のいい青年だった。青年は食事などよりも、もっと他に心を充していることがあるらしい様子で、ぼんやり娘の食物の皿を眺めおろしていた。その恍けた大きな眸とぶつかった時、智子は少なからず狼狽した。
青年の方でも、俄かに鼻さきへ突きつけられた美しい娘の顔に気がついて、どぎまぎしながら羞明そうに横を向いた。
(はて?――)と智子は考えたのである。確かに何処かで見たことのある親しい眼だった。……直ぐに、それが死んだ父親の写真にうつっている眼ざしだったことを思い出した。
(まあ、それに額の立派なところ迄よく似ているわ――肩幅は少し広すぎるけれど……でも、お父さんは夭折なすったのだから、こんなに元気そうではなかったのに違いない……)