Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
誰も彼等と行交わなかった。彼等はお互の腕を組み合わせて歩いた。
「他人が見たら、御夫婦と思うでしょうね。」と云ってBの細君が笑った。
「僕の女房は、こんな風にして歩きませんよ。」
Aは、そう答えて、振り返った拍子に、彼女の耳飾りを下げた耳の香水を嗅いで、胸を唆られた。
「おとなしくて、いい奥さんね。あなた、随分長いこと愛していらしゃったんでしょう。」
「ええ、子供の時分から知ってたんです。」
「その間、ちっとも浮気をなさらなかったの?」
「勿論、僕は、ひどく何て云うか、ガール・シャイとでも云うんですかね、他の女はみんな怖かったんです。」
「まあ。」
「あなた方は如何だったんです?」
「たった一日恋人だったの。スケート場の宿屋で泊ったのよ。その話は御存知なんでしょう?」
「Bは何とも云いませんでした。」
「フィギュアをやってる時、あの人と衝突して、あたし仰向に倒れて気絶しちゃったの。そうして、介抱して貰ったの。あの人は、とても親切にしてくれましたわ。でも今考えてみると、その女があたしじゃなくてよかったのですわ。」
「何故ですか?」
「だって、あの人、近頃ではあたしの性分があんまり好きじゃなさそうなんですもの。