Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
廣介は、先ず自分が驢馬を下って、千代子の手を執り、彼女を助けおろすと、いきなり前方の闇へと突き進むのでした。木の幹に身体をはさまれ、枝葉に行手をさえぎられ、道でない道を潜りながら、土竜の様に進むのです。そして、暫くもまれもまれている内に、ふと浮ぶ様に身が軽くなって、ハッと気がつくと、そこは最早や森ではなく、うらうらと輝く陽光、見渡す限り目をさえぎる者もない緑の芝生、そして、不思議なことには、どこを見廻しても、あの森などは影も形も見えないのでした。
「まあ、あたしはどうかしたのでしょうか」
千代子は悩ましげにこめかみを圧えて、救いを求める様に廣介を見かえりました。
「いいえ、お前の頭のせいではないのだよ。この島の旅人は、いつでも、こんな風に一つの世界から別の世界へと踏み込むのだ。私はこの小さな島の中で幾つかの世界を作ろうと企てたのだよ。お前はパノラマというものを知っているだろうか。日本では私がまだ小学生の時分に非常に流行した一つの見世物なのだ。見物は先ず細い真暗な通路を通らねばならない。そしてそれを出離れてパッと眼界が開けると、そこに一つの世界があるのだ。