Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
少しばかり心配なのは、彼女の悲鳴が、花火の筒を通して、遙かの地下へ伝わりはしないかということでしたが、幸いにも彼女の上陸したのは、それの反対側でしたし、又地下の花火打上装置のすぐ側には、発電用のエンジンがひどい音を立てていて、滅多に地上の声などが聞える筈はないのでした。それにもっと安心なのは、丁度今十幾発目かの花火が打上げられて、さっきの悲鳴はその音の為に、殆ど打消されて了ったことです。
まだ消えやらぬ、金色の火焔は、あちこちと出口を探して逃げ惑う千代子の痛ましい姿を、まざまざと映し出しています。廣介は一飛びに彼女の身体に飛びついて、そこへ折重なって倒れると、何の苦もなくその首に両手を廻すことが出来ました。そして、彼女が第二の悲鳴を発する前に、彼女の呼吸はもう苦しくなっていたのです。
「どうか許してくれ、俺は今でもお前を愛している。だが俺は余り慾が深いのだ。この島で行われる数々の歓楽を見捨てることが出来ないのだ。お前一人の為に身を亡す訳には行かぬのだ」
果てはぽろぽろと涙をこぼして、廣介は「許してくれ、許してくれ」を連呼しながら、益々固く腕を締めて行きました。