Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
廣介は「この島へ呼んでやってもいいのだが」とつけ加えたいのを、やっと我慢したのです。それ程彼は、彼自身の旧悪については、自信があり、真から菰田源三郎になり切っているのでした。
「まだ御存じないと見えますね」北見小五郎は感慨深く云うのです。「あの人は昨年自殺をしてしまったのです」
「ホウ、自殺を?」
「海へはまって死んだのです。遺書があったので自殺ということが分りました」
「何かあったのだね」
「多分そうでしょう。私には分りませんが。……それにしても、不思議なのは、御主人と人見さんと、まるで双児の様によく似ていることです。私は始めてこちらへ参った時、若しや人見さんがこんな所に隠れていたのではないかとびっくりした程でした。無論御主人もそのことは御気づきでしょうね」
「よくひやかされたものだよ。神様がとんだいたずらをなさるものだから」
廣介はさもらいらくに笑って見せました。北見小五郎も、それにつれて、おかしくてたまらぬ様に笑いました。
その日は空が一面に鼠色の雨雲に覆われ、嵐の前といった、いやに静な、ソヨリとも風のない、それでいて島のまわりには、波が獣のうなり声で、不気味に泡立っている様な天候でした。