Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
しかも、そのどの一つにも、少しの手落ちだって、あろう道理はないのでした。
ふと気がつくと、二人の客の話声がいつの間にかやんで、その代りに、調子の違った二通りの鼾の音が、部屋の向側から響いていました。寝返りを打って、細目を開いて見ますと、男達は健康らしく大の字になって、相好をくずして、よく寐入っているのです。
何者か、性急に彼の実行をせき立てるのが感じられました。機会が到来したという考えが、彼の雑念を立所に一掃して了いました。彼は何かに命ぜられる様に少しの躊躇もなく、枕頭の行李を開いて、その底から一枚の着物の切れはしを取り出しました。それは妙な形に引き裂かれた、五六寸位の古びた木綿絣でした。それを掴むと、行李は元の通りに蓋をして、かれはソッと甲板に忍び出るのでした。
もう十一時を過ぎていました。宵の内は時々船室へも顔を見せたボーイや船員達も、それぞれ彼等の寝間に退いたのか、その辺には人影もありません。前方の一段高い上甲板には、定めし舵手が徹宵の見張りを続けているのでしょうが、今人見廣介の立っている所からはそれも見えません。舷によれば、しぶきを立てる大波のうねり、船尾に帯をのべる夜光虫の燐光、目を上ぐれば、眉を圧して迫る三浦半島の巨大なる黒影、明滅する漁村の燈火、そして、空にはほこりの様な無数の星屑が、船の